2023年12月23日に東京都中野区は なかのZERO大ホールで開催された「光のオーケストラ 第2回演奏会」(以下ヒカオケ)と翌日の24日に立川市は たましんRISURUホールで開催された「タイクーン王立吹奏楽団演奏会」(以下タイクーン吹)に両日客席リスナーロールで参戦してきました。
遠征を終えての情感をひと言で申し上げるとこれ。
出典の違う2つの演奏会の感想を一緒くたに書いたらスゴイシツレイになるのでは……?とも思ってたんですが、どうにも演奏会単体だけで書こうとすると筆が進まず、代わりになんか溢れてくる「2つの演奏会をハシゴしたからこそ得た”栄養素”」という面からアプローチしていきます。
FF5もFF14も「光の戦士」たちの旅路の物語なので、混同を避けるため一連の感想戦記事の中ではFF5パーティキャラの方を「光の戦士」、FF14プレイヤー全般を「ヒカセン」と呼称します。
事前情報:ワレワレとエオルゼアとタイクーン
まず、それぞれの演奏会の出展作品や楽団とワレワレがどういう関係にあるかを軽く。
こういうヤツからの感想なんだな……との参考にとどめておいてください。
出典コンテンツと自分との関係
ヒカオケ:FF14 拡張3パッケージ・暁月を歩むヒカセン
紅蓮のリベレーター・漆黒のヴィランズ・暁月のフィナーレから、奏者もリスナーも歩んだヒカセンの旅路を辿る曲群をピックアップ。紅蓮4.0~暁月6.0時点までのサントラ収録曲数はざっくり337曲。物理BDMのほか公式でサブスク対応されてます。
ワレワレも一応ヒカセンで「いつの日かきっと」を聞きながらバルデシオン分館に寝泊まりしてる(=暁月の進行度ではある)けど、現状シーズナルごとに現れる幽霊ヒカセンでフィナーレを見てないので、暁月編になると感想の解像度がぐっと下がるのよね。この辺が演奏会単独だけで記事を書こうとして筆が進まなかった理由。
タイクーン吹:FF5「全曲」・SFC版クリア済の「木陰の民」
FF5から全曲を本編に沿った3部構成のメドレーに。
お馴染みメインテーマやビッグブリッヂの死闘から、状況説明の色が強い「危機一髪!」「脱出!」といったマイナー曲、果てはピアノのおけいこやファンファーレといったジングルも!全部!!!
サントラ収録曲数は67曲。SFCオリジナル音源とピクセルリマスター版アレンジがある。ピクリマアレンジは良い供給。エンディング、ジングルをのぞくSFC時代のサントラが公式 Youtube で公開されてます。
ワレワレはSFC原作クリア済。何をどう間違ったのか大樹のとげを膝に受け、いまに至るまで自他共に認める限界エクスデス信徒「木陰の民」。
ピクセルリマスターはサントラだけなんとか……本編もやっておきたいなぁ。
演奏楽団との関係
ヒカオケ:2度目のリスナーロール
奏者、編曲者、ルイゾワスマイル合唱団、企画運営といった関係者と同じコミュニティ(フリーカンパニー)に属していて、顔なじみの楽団員がいる。また「光のオーケストラ」コンテンツとしては2回目のリスナーロール参戦のため、前回の情緒の残滓を”過去視”してしまう。
タイクーン吹:完全初見ソロ突入
ヒカオケ以外のサブカルオケ器楽界隈とはほとんど接点がなく、楽団公式SNSのみフォローして情報を得ていたため楽団との個人的関係は皆無。当日はFF5クラスターでフォローしてる方も来られてると感知したけど、自分は立川市自体初めて足を踏み入れたレベルのアウェイだしソロ完全初見で突入することに。
ハ音とト音の分かるる道:ふたつの演奏会で感じた違い
詳しくは各演奏会の記事で書きますが、ハシゴしてて違いが出たなーとか覚した個人的感じ方の差とかを以下に列挙。なんでハ音記号とト音記号なのかというと、ヒカオケロゴのエーテライト(クリスタルみたいなヤツ)土台がハ音記号なのにようやく気づいたんですよ。
情緒破壊攻撃系統
公式からの供給や有志による活動によって、ことあるごとに切り落とされたりねじ切られたりすりつぶされたり……と散々な目に遭ってる「情緒」。これが今回、自分にとって両者で面白いほど情緒破壊の方向性に違いが出たのです。
ヒカオケ:特定の楽曲で条件反射的に涙腺が壊れるデバフ型情緒破壊
2019年の第1回演奏会も聞きに行ったり、そも身近に関係者がいるなどしてウェットなつながりがあるうえ、FF14公式オケコンでも無事涙腺破壊されたことがあったから、たぶん涙腺にいっぱいおしゃれバッジつけてる(=いろんなデバフがかかってる)。
タイクーン吹:致死量の推しを浴びて蒸発する波動砲型情緒破壊
逆に開演中一滴も涙が出なかった代わりに、業火のごとき音圧の供給にさらされて声を上げることなくルイゾワスマイルになったのがタイクーン吹。
瞬間最大火力は間違いなく第一部の終わりと第二部の開幕。これはひとえにワレワレの<<業>>なんですけど、あれは予想可能回避不可能でしたね……
目に見えるもの
アマオケ≒楽団一丸でやりたいパフォーマンスに全力、みたいなイメージありますが(偏見)、当然2楽団でここにもイイ感じに個性でてました。
ヒカオケ:一点履行コスプレ
そのパフォーマンスのほとんどを「演奏」に全振りしていた今回のヒカオケ、ビジュアル要素は奏者のアクセサリー(紅蓮編でなんか「赤っぽいな……?」暁月編で「なんか白くなった……?」と思ったくらいの解像度で、当時は「拡張イメージカラーで変えてる」と気づけなかった)くらいでしたが、ここぞという場面で指揮者のコスプレがあって、大体のヒカセンそこで声なき叫び上げてたと思いますw
タイクーン吹:奏者は光の戦士?!チョコボも羊(?!)も出るぞ
「タイクーン王立吹奏楽団”戦勝”記念演奏会」という舞台設定の演奏会で、会場はタイクーン城に、客席は(一部を除いて)タイクーン国民に、そして舞台にはバッツ、レナ、ファリス、ガラフ、クルルの光の戦士たちとボコまでも。演奏中もこれらの「舞台装置」をイカした演出がふんだんで、タイクーン国民ならずとも大歓喜だったよね。
ワレワレが「タイクーン国民」になりそびれたのは元々の「信徒」傾向もあったんですが、思わずこんな電波を受信したからでした……
コンセプトや編曲・構成の傾向
奏者もリスナーも「原作解釈強火オタク」であろうわけで、ここはもうアマチュアオーケストラなら譲れないところですよね。
ヒカオケ:ヒカセンの旅路再演重視
「竜詩戦争」にもなぞらえるほど紛糾する(奏者ヒカセン談)膨大な曲数を誇るサントラからの楽曲選出。そのなかにあって「プレイ体験再現のためなら出典拡張ナンバリングを超えて採用する」「いちモチーフを不穏なコードにしたり、原曲にはあるはずのないモチーフのフレーズをぶつけ”破れさせる”ことで、その後の曲や展開を想起させる」楽曲の関係性を重視したアレンジが印象的でした。
「前回があった」強みを活かした選曲もあり、該当ヒカセンはそれだけで滂沱したとか。
……したわ!!!!!
タイクーン吹:原作世界観再現重視
さまざまなシーンで同じ曲を使い回すことが多いFF5にあって、光の戦士たる奏者(メインに据える楽器)を変えることで「原作のどのシーンなのか」を描写させたり、削っても削りきれず複数回数演奏する曲はイントロだけ使ったり1回目より抑えめに演奏することで、マンネリ化を防いだり後に続く楽曲の印象を妨げないようにするなど、世界観を再現するための細やかな曲順と編曲に対する気配りを感じました。
ピクセルリマスター版のサントラで追加されたフレーズやパートを柔軟に取り入れる一方、各種SEの再現はかなり忠実。
パンフレットと幕間・アンコール
それぞれで星芒祭やチョコボのクリスマス(チョコダン)といったシーズナルな選曲があったの、よかったですよね……これらと旅程中の東京駅や百貨店に展開されてたクリスマスケーキの特設販売ブースと、たましんRISURUホールのイルミネーションが今回の遠征の季節感でしたわ。
ヒカオケ:パンフに載ってない曲がいっぱい
プレコンサート、幕間、アンコール、見送りに加え、まさかの各部に1回パンフに載ってない「秘話」的アンコール曲、それも構成の文脈的に「絶対コレ!」ってのを持ってくるのがうますぎる。幕間にもアンサンブルがあるのは、FF14 PLL 名物「休憩させてくれない休憩」を引き継いだ伝統ですね。
タイクーン吹:パンフに全部曲目がある
パンフレットにプレコンサートからアンコールまで演奏曲目を全部掲載。
プレコンはそれぞれのパートがやりたい編成でやりたい曲を!ってのが前面に出ててどれも心地が良かったし、リスナーロール参加型アンコールではアンケート用紙にギミック書いてあったのがニクい。
五線が紡ぐ道はひとつ:ふたつの演奏会で感じた共通点
ここからはふたつの演奏会で感じた共通点をいくつか。「光の戦士」が出てきたり、愛が深くて重くて、でも楽しくて嬉しくて、そして儚い(リスナーにとっては一回きりなので)……のはまぁ前提のようなものですが。
客席も「参加者」である:指揮者による拍手制御
指揮者バッツによるMCが都度入るタイクーン吹のときは次元の狭間突入前に、ヒカオケではギミックとして最初から「客席の拍手は指揮者が指揮台を降りて一礼したときに」と指示がありました。n=3くらいの実感ですが、楽曲を終えたときの静寂にのこる余韻を大切にしたい、複数楽曲の演奏で再現する世界観や緊張感を共有したい……などの理由から、客席の拍手も「指揮」するのがスタンダードなんでしょう。
ゆえに、ワレワレはゲームオケにおいて客席で参加することを「リスナーロール [Listener Role]」と称しています。
飛び道具飛び交うパーカッション陣
「飛び道具」ってひとくくりにするのもスゴイシツレイではありますが、思い入れ深い討滅戦で二刀流岸田メル先生()しだしたパーカスヒカセンやおもむろにドリルを取り出すバッツ・クラウザーといったシュールな絵面から、原曲からしてユニークなリズム隊をもつ曲を再現する音響小道具たち、カズーでローファイな曲の雰囲気を出したり、パーカス”パート”ではないが奏者の足音で表現するSEに砕け散るクリスタルとそのかけらの輝きまで、創意工夫に満ちた”楽器”群の数々、どちらも実にお見事でした。
なんか「森が燃えてた」
割とどうでもいいことなんですが、偶然にもヒカオケ・タイクーン吹ともに
- 「燃えてる森」(終末樹海ヴァナスパティ)
- 「森が燃えた」(ムーアの大森林)
場面の曲があるんですよね。気づいたときにはひとり笑ってました。ハシゴならではの栄養素。
感想戦始まりの終わりとして(御礼)
改めて「光のオーケストラ」関係ヒカセンの皆様、「タイクーン王立吹奏楽団」の光の戦士およびタイクーン国民の皆様、絶固定のごとき研鑽と修練から生み出された、愛すべき世界観の共有をありがとうございました。ヒカセンにしてエクスデス信徒たるワレワレにとって、どちらも「万難を排して行って本当に良かった演奏会」でした。
ひとつ後悔があるとしたら、もっと写真を撮って記録に残すべきでした。ヒカオケのフラスタとパンフ未収録セトリ、タイクーン吹のサインボードくらいしか撮れてない……