往路旅程編：プレスリポーター・エクスデスのM3’12秋遠征記

（中の人註：これからの文章は「同行二人状態の先生がレポート日記を書いたらこうなるのでは」という妄想のもと、事実を少ーし拡張・誇張して書いています。
文章中、登場する人物の敬称を略していることがありますが、キャラクターを演じて書いていることをご了承ください。
まぁ、それとて得手勝手な先生像てんこ盛りなんですが、「老獪中二病」ということで……）

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最初に、140文字で分かる遠征往路まとめ。
続き以降の文章は、この事実の拡張版ととらえればよい。

1. 26日寝台特急で出発の予定が予約日間違いで＼ピンポーン／
2. →27日早朝始発特急、快速から新幹線乗り継ぎに変更
3. →0320起床0355出発0444地震発生
4. →0500しまんと2号定刻発車するも17分遅れ、マリンライナー連絡不可
5. →多度津から0706しおかぜ4号に
6. →のぞみなう

具体的な地名・路線等の地理はJR四国公式サイト参照のこと（Flashコンテンツ有）

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ピンポーン。
駅構内に注意音が響き、障壁が行く手を阻む。
大規模音楽同人イベント、M3 2012秋の開催を2日後に控えた10月26日夜のことだ。

2010春以来2年半ぶりの参加となる今回だが、遠征旅程は以前と変わりがない。
イベント当日2日前（日曜開催ならば金曜）の夜に特急列車で高知から坂出へ移動、坂出から寝台特急サンライズ瀬戸に乗り換えて一夜を過ごし、イベント前日朝には悠々と王都に到着している、という塩梅だ。
そうして今回も土曜の朝に着くはずであった。少なくとも、奴の思惑の中では。

改札が拒んだ一連の切符を、駅係員が確認する。

「えっと……乗車日が 2 7 日 になっておりますが」

( ﾟдﾟ )

思いもよらぬ事実に、すぐさま切符購入に関する一連の記憶をたぐる。
ほぼ1ヶ月前、同じ駅構内の窓口で用紙に記入した往路の……予約日付は、10月27日。

(  Д )  ｱｲｽﾞ･ｵﾝ･ﾄﾞｺｰ

私にも眼球があれば、ともに射出していただろう。
乗車日を間違えて予約してしまうとは。「恨むなら、自分か神様にするんだな」という、中世畏国英雄王のセリフがこだました。
しかし、なんとしても明日の午前中には王都に着かねばならぬ。
駅係員とともに、代替移動手段の模索が始まった。

• 往路の切符は、乗車券、高知～坂出間の自由席特急券、サンライズ瀬戸の特急・寝台券(いずれも乗車日は26日のつもりで27日)
• 26日当日のサンライズ瀬戸・岡山駅で合流するサンライズ出雲はいずれも「満室」

どうあがこうと、26日出発で向かうことはかなわぬようだ。
そこで

• サンライズの特急・寝台券を払い戻し（手数料3割で8000円近く返却）
• 27日高知駅0500発の特急しまんと2号に乗車（間違ってとった乗車券・自由席特急券がそのまま使用可能）
• 坂出駅で0659快速マリンライナー8号に連絡（自由席ならば乗車券のみで乗車可能）
• 岡山駅8時ちょうどのあずさ2号のぞみ116号で東京駅へ（新たに特急券を購入）

以上の代替案を採用し、その夜は引き返すこととなった。

休まらぬ身体を否応なく無限の布団に沈め、その意識をつかの間の静寂へと誘ってやる。
翌日の起床予定時刻は……午前3時20分。

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異例の早朝起床を乗り越え、停車中の車内でかろうじて覚醒を保っている奴を車体ごと揺さぶるなにか。
それが乗用車の振動ではないことは、すぐに感知できた。

10月27日午前4時44分、高知県中部地下40kmを震源とするマグニチュード4.5の地震が発生。
大地にたたき起こされた同郷在住者で、Twitterのタイムラインがにわかに騒がしくなる。
肝心のしまんと2号は、5時定刻に発車したのだが……

「今どこの駅に止まってるんですか?」
『土佐大津みたいですね。特急が最初に停車する 後免駅 の手前です』

この世界では、地震は大地の板がせめぎ合い生じた歪みや軋轢が解放されることで起こる、とされている。
地の歪みは解放されたが、それで生じたダイヤの歪みは確実に大きくなっていた。

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<<岡山方…へお越…の方にご案……たします>>

四国山地をくぐり抜け、うどん帝国をひた走る頃。
気動車の駆動音をかいくぐり、車掌のアナウンスが車内をよぎる。

<<この列車は、坂出駅発車のマリンライナー8号に 接 続 い た し ま せ ん >>

死の宣告ｋｔｋｒ。……失敬。
このまま坂出駅まで乗った場合、後続のマリンライナー号に乗車することになり、のぞみ116号へ乗り継ぐことはできなくなる。

<<この次……ります…度津…で…分のお待……わせ>>

俄然アナウンスに耳をそばだてるが、

<<7時……発 特……おかぜ…号……行に…乗り…え下さ…>>

駆動音に紛れて音声が判別できない。

『（とりあえず次で降りたら、なんとかなるらしい？）』
アナウンス後停車した駅で、周囲の乗客の空気に促されるように我々はしまんとの車両をあとにした。
降車したJR多度津駅、そのホームの電光掲示板を見て得心する。

「『あ、そういうこと』か」

各地に根を張る「大地の箱船」の路線網、王都に向かう道は一つではない。
午前7時06分発、予讃線特急・しおかぜ4号岡山行。
四国北部県を走る予讃線1ならば、先の地震の影響はないはずだ。

車内検札を終え、自由席に身を納めた奴の緊張はまだ解けない。
岡山駅到着時刻は7時51分。
新幹線乗り換えに許された時間は……9分。

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8時定刻に発車した、新幹線N700系のぞみ116号。
その指定席の一角に、朝食のサンドイッチをほおばり温かなカフェオレでのどを潤す奴がいた。
緊迫の展開を越えようやく訪れた自由時間に安堵の息をつく。

これまでの「エクストリーム」な旅程を3DSにも残しておこう。
ルクセンダルクの物語2も、進めておこう。
改めて身体を伸ばして座席に身を沈め、移動速度とは真逆の緩やかな安らぎに身をゆだねた。

……その手荷物に、招かれざる同行者を視認するまでは。

「『カメェェェェェムシィィィィィィィー？！』」3

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かくして、11時23分。
のぞみ116号は遅れることなく、東京駅に到着した。

1. 愛媛（伊「予」）・香川（「讃」岐）を横断するJR路線 [↩]
2. ブレイブリーでデフォルトな、アレだ。ちなみに、遠征日程中ほとんど進行しなかった [↩]
3. 10数分もの格闘の後、飲み干して空になったペットボトルに捕獲された [↩]