(それでは、今回の遠征日記をはじめます。日程よりもエピソード重視。例によってこの形で……)
+++
驟雨のヴェールが幾重にも下ろされたオフィスの一角でひとり、机に沈み込む。
俗に「ゲンドウポーズ」と呼ばれる苦悩に満ちた「しぐさ」で組まれた手の奥に、葛藤で塗りつぶされた双眸が見て取れる。
「なんでこんな日に限って……」
こぼした恨み言をかき消す勢いの雨によって、高知県下のJRは軒並み運休。
遠征への移動手段を鉄道に依存しているディナテスの中の人にとって、それは致命的な断絶といえよう。
さらにテュポーン大先生……もとい宣教師台風が直撃ルートを逸れ気味とはいえ接近中ともなれば、ゲンドウポーズの一つや二つしたくなるというものだ……ギルガメッシュに二つぶんさせるか。
しかし情報を追ううち、我々はあることに気づく。
高松から東京に向かう遠征の鹿目要、寝台特急サンライズ瀬戸の運休が告げられていない。
さらに、四国山地を縫う高速道路も一部区間の通行止めはあるものの、高知〜高松間は速度規制のみで通行可能。
サンライズ瀬戸の始発駅は、高松駅だ。
「雨のせいだから……風はないから、瀬戸大橋通れるんだ」
自らに言い聞かせるように、独りごちる。
「雨が降ってて、鉄道はダメ……」
「鉄道がダメなら……」
「……バスだ!」
苦悩に濁った瞳が、狂気めいた希望へと塗りかわっていった。
「……これより『イフェル計画』を発動。中の人の勤務時間のかけらを生贄に、高知→高松の高速バスチケットを召喚」
イフェル計画。1
それは「ゲームは生命活動であり全てに優先する」というホームタウンドミナのリーダー・イフェルの信念に由来する行動計画だ。
此度の事由に照らし合わせれば、すなわち「M3遠征への道は全てに優先する」。
「決断の鐘 [Decision Bell2 ]」は、ここに鳴らされた。
※念のため申し開いておくと、イフェルの中の人は自称「ドラクズ」だが、やることはやっている。
(少なくとも、中の人はそう見ている)
17時40分。
強くなりはじめた風に追い立てられるように、高松駅行き高速バス「黒潮エクスプレス」は高知駅を発った。
+++
20時55分。
高松駅に到着してからおよそ1時間経過。
極限の大脱出を果たす最終便、サンライズ瀬戸の出発にはあと30分ほどの時間があるが、まずは成すべきことがある。
うどん県に来て、うどんを食さぬわけにはいくまい。
瀬戸内海にビッグブリッジが架かる前は、宇高連絡船と呼ばれる定期船が運行されていた。
今回食したのは、かつてその船上で振る舞われ、今もその名を残す「連絡船うどん」である。
かくして21時26分。
寝台特急サンライズ瀬戸は定刻通り高松駅を後にした。
exodus
(〜から|多くの人々が)出て行くこと。Exodusと大文字の場合「(旧約聖書の)出エジプト記」。
「審判の霊樹エクスデス(エクセデス)」の英語表記には、なぜか Exodus the Judgesal と使われている。
+++
去年よりひどいw
もうこの一言に尽きます。(去年のエクストリームは、出発日間違えた自分のせいだったからね)
振り返れば、高知〜坂出間が高知〜高松のバスに置き換わっただけではあるんだけど、当時はずいぶんと気をもみました。
遠征出発日じゃなかったら休んでたよあの天気!(実際、県内の学校はほとんど臨時休校でした)