大樹のプチオンリー報告書:10月9日

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脚色レポートの続きです。

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定刻より1時間遅れて到着した王都は、しんしんと降る雨に煙っていた。
遠征のメインクエストを明日に控えたこの日は完全なる自由行動日と設定。
早々に荷物を預けたあと、我々はあやつの言う「行きたいとこリスト」を元に動き始めた。
件のリストに曰く

  • 神田明神
  • リアルLUSH
  • リアルAssistOn
  • アンテナショップ「まるごと高知」

「『リアル○○』ってなんだよこれ」

『通販で利用しているショップの実店舗』ということだな。
このうち最後者には後日行くこととなり、リアル系統の目的地は宿で荷物を整理してからの方が良かろうということで、まずは神田明神へ歩を進めた。

東京→神田→お茶の水。
江戸総鎮守であり、現代でも神田や日本橋、築地市場といった王都中心地を庇護する神田明神(神田神社)は、秋葉原電気街の氏神でもある。
この界隈に多少なりとも恩恵を受けているあやつにとっても、一度は参詣をすべき神社であったのだ。
何を祈念してきたのかは、我々の知るところではないが。

「神田明神にお参りしたときの話はこっちも読んでみてくれ。お参りのあとにはITお守りと、リラックマお守りをもらってきたんだ。おみくじは……中吉だったらしいよ」

「私に結ぶな!」

雨で多少冷えた体を甘酒で暖め、小雨の中を再び鉄道網の流れに飲み込まれてゆく。

東京→原宿。
チェックインが待ちきれず、予定を繰り上げて実店舗巡りを始めた我々はリアルAssistOnに向かい、あやつの物欲を解き放つ様をつぶさに見ることとなった。
放てば放つほど、その脆弱な足が悲鳴を上げることになるのだが、そこは我々の知ることではない。

その後、宿でのチェックインを終えて荷物を整理し、見せかけの「カバンの若干の余裕」を作り上げたあやつが、残りの目的店舗のほかにビックカメラと東急ハンズに吸い寄せられ、財布のブレイブをBreakさせていたのは、また別の話である。

「まぁ、でもハンズはしょうがないよ。ロゴ見たら行きたくなるだろ、アレは。あいつんとこにはハンズないし

……我が片腕よ、とどめを刺してやるな。
初日から疲労困憊のようで、湯船に沈没しているのが見える。翌日の本番クエストの遂行が危ぶまれるところだ。