勇猛盗符:暗黒大樹エクスデスのディナテス密着24時

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ヴェリナード王国公認チーム、ホームタウンドミナ。
ディナテスが所属し、聖樹と聖剣の世界に語られる憧憬の町の名を冠するこのチームは、IYHとマイペースをモットーとしながら精力的に活動中だ。

昨今の世界情勢の変遷に伴い、各国チーム大使より依頼されるようになったチームクエストに関しても、「マイペースでやっていきましょう」との通達がリーダーから出されている。
……しかしながら「マイペース」の「マ」を「ハ」に変えて「マダレハツ1」な字に変換した方が、実情に沿うのではなかろうか。

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「理性のリング、か……」

職人納品・日替わり討伐の日課のあと久方ぶりにバザックスと戯れた疲れを桜花の寝床に任せ、ディナテスはチームクエスト依頼リストを眺めていた。

一言にチームクエストといえど、職人ギルドへの納品や指定地域の探索、系列や地域を特定した各種モンスターの討伐、と依頼は多岐にわたり、報酬となるチーム経験値も様々である。
その中で群を抜いて難易度が高く、得られる報酬も高いのが「レアアクセサリ獲得」や「強ボス討伐」だ。

さて、今期のチームクエスト依頼には「理性のリング獲得」がある。
混乱耐性を50%引き上げる護りの指輪で、適正レベル30台前半の よろいのきし が希に落とすとされる。

目標2個のうち1つは、じょにー 率いる先発隊により入手。あと1個誰かが獲得すればクリアだ。
ただし、その期限はこちらの次元であと8時間。

「ちょっと行ってみよっかな……」
「じゃ、一緒に行こうか?」

軽い気持ちで挙げたディナテスの挑戦に手を上げたのは、ホームタウンドミナが誇る廃人僧侶のレオナだ。
「廃人」という呼称・称号に関しては評価の揺らぎも賛否もあろうが、彼女についてはチーム内の見解が全会で一致している。
読者諸兄諸姉には「WiiU版からの参入組ながら、すでにレベルカンストの職がある」と説明すれば、根拠の片鱗を伝えられるだろうか。

「はいじんこわいです」

その言葉を、そっくり返してやろう。
ともあれ二人は盗賊へと転職し、グレン領の北東へドルボードを滑らせた。

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「「欲しいのはそれじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」

豪華な宝箱から顔を出した ちいさなメダルを見て天を仰ぎ、レオナとディナテスは咆吼をあげた。
ウェディの淑女にあるまじき はげしいおたけび にも近いそれらが、グレン領特有の赤茶けた渓谷にこだまする。

「「出て欲しいのはそっちじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

またも出た豪華な宝箱からウルベア銅貨と てっこうせき を赤銅の大地に投げつけ、再び二人は咆吼した。
(ウルベア銅貨は、くさった死体のレアドロップ)

以降、十数戦においては通常の宝箱すらでる気配がなく、二人は黙々と眼前にうつる青銅色の甲冑を狩っていった。
混乱を以て理性となし、蛮勇を以て正義となす。
ふた組の双眸に、勇猛なる狂気が宿りはじめていた。

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思えば過日の竜おまの時は、なんと存外の幸運に恵まれていたことか。
周囲の声を聞くと希少装備品が少ない戦闘回数で手に入ることは意外と少なくないようだが、「戦っても戦ってもでない」実感例も同様である。

すべては、極小の有と無が織りなす、乱数という女神の気まぐれなのだ。

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「よろいのきし 100体討伐達成しました!」

ドラキーの通知も空しく響く、彼女たちの戦いはアストルティア時間で1日を経過していた。
(アストルティアの1日は、こちらの次元に換算して75分前後と言われている)
そして、彼女らの咆吼に応えたものが、グレン領の袋小路に集う。

まず合流したのは、最近チームに入った盗賊エルフの えうう だ。
得物に鞭を携えるのは盗賊としては珍しいが、戦術の幅は広がる。
目をくらませるスパークショットを放ってもらうのだ。
幻惑状態に陥れて相手からの被弾を減らすことで、手数を攻撃と ぬすみ に集中させられる。

よろいの懐に殺到し、鞭による目くらましをかけ、奪取できれば 拳の爆裂 とツメの一翼で屠る。
そこに、我らが おにい ちゃんも盗賊に転職して合流。
アストルティア・デビューから日の浅い えうう のフォローを中心に、パーティのバックアップを担った。

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全員同職ながら、なんと連携のとれた戦いだろうか。
……と戦法を褒めたところで、肝心の宝箱がでなければ空しさは募るばかりだ。

「でない」「でねー」「じょにお があのとき2つ出さないからー」

過日の先発隊が、とばっちりを受けている。

「なんかでないっぽいし、第2班出す?」「行けるひとー?」

半ば憑かれるようにグレン領の袋小路をさまよう一行を見かねた、残りのメンバーが第2班を結成しようかというとき。
戦い始めてから3つ目のレア宝箱より、星のきらめきを意匠とした銀の指輪が現れた。

ホームタウンドミナのチームレベルは上昇し、パーティは疲労と達成感と歓喜に満ちる。
混沌となっていた混乱と理性は、再び分かたれることとなった。

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長き戦いで得た報酬は、チームに反映されるものばかりではない。

「これをこうして……はい、取り出せました」

こあくまのツメ、マタドールスーツの上着、はがねのよろい一式、みかわしのくつ……この戦いで使い込んだ装備から抽出された「汗と涙の結晶」は50個を超え、手持ちがあと10数個で100に届くほどとなっていた。
にもつぶくろ に溢れる淡い金の結晶。その鈍い輝きに照らされたディナテスの顔に、決意の表情が浮かぶ。

「……ありがとう、らせこんさん」

僧侶レベル35の時代から長く愛用していた らせつのこん を結晶に変え、手放すことにしたのだ。
この分を加えた100個をバザーに出品し、彼女の財布がふくよかになったのは余慶であろう。

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しかし「混乱を以て理性となし 蛮勇を以て正義となす」とはよくいったものだ。

「せんせー、なにそれ?呪文?」

「勇猛狂符」という異国の術だ。
中世イヴァリース史を知るならば、記憶にとどめているものもいるだろう。
実際は混乱ではなく、バーサク……怒りと暴走に陥れる符術だが。

理性を保つ指輪を求めるがために、理性を飛ばし戦い続けるとは、なんとも皮肉なものだ。

「今のチムクエに『植物系討伐!』あるんだけど、ちょっとカウント上げさせてもらえるかな……エクスデス?」

抑揚のない声が重厚な刃となって、次元のほころびに迫る。
図らずも、術が効いてしまったようだ。

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要約すると、いやーレアアクセを「狙って」狩りするってホント大変ですね、という話。
延々狩りしているとだんだん無言になってきて(チャットが全くないわけじゃないのは本文の通り)、なんというか自然に役割分担が変化して、順応できるもんだな……なんてことをぼんやり思いながらツメ振るってました。

入手時点での累計討伐数は実に176。

クエストなどで既に倒してる分もあるから今回の正確な討伐数を知ることはできないけど、優に100体以上倒しましたね。

  1. 「まだれ」+発=廃 []
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